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飲食店開業の許可・手続きの流れを徹底解説|申請から開業まで

中村 亮介 / 更新:2026-06-18
飲食店開業の許可・手続きの流れを徹底解説|申請から開業まで
「飲食店を開きたいけど、何から手をつければいいのか分からない」——独立開業者への取材を重ねるなかで、いちばん多く聞いた声です。結論から言うと、飲食店開業の許可は『事前相談→申請→施設検査→許可証交付→営業開始』という決まった流れで進みます。

この記事では、保健所への相談から許可証を受け取るまでの順番を、書類や資格、費用と期間の目安までまとめて整理しました。業態ごとに変わる許可や、立入検査で落ちる失敗例にも触れます。

私は飲食店運営会社で店舗開発を5年担当し、独立開業者への取材も30件以上やってきました。その経験から、つまずきやすいポイントを先回りして書きます。

飲食店開業の許可・手続きの全体像と進め方

【保存版】営業許可がないと飲食店はオープンできない?開業するために必須な届け出と手続きを解説!【飲食開業】
【保存版】営業許可がないと飲食店はオープンできない?開業するために必須な届け出と手続きを解説!【飲食開業】

飲食店を営業するには、食品衛生法に基づく「営業許可」が必要です。許可を出す権限は都道府県知事や保健所設置市長、特別区長にあり、申請先は店舗の所在地を管轄する保健所になります。

所要時間と難易度の目安

許可の取得そのものは、流れを知っていれば難しくありません。問題は段取りです。工事を始めてから保健所に相談すると、設備が基準に合わず作り直し、という最悪のパターンが起こります。

厚生労働省の資料でも、事前相談は工事着工前に図面を持って行うよう案内されています。ここを守るだけで難易度はぐっと下がります。

開業までに必要な手続き一覧

営業許可だけ取れば終わり、ではありません。資格の取得や消防署への届出、税務署への手続きまで含めて初めて開業準備が完了します。最初に全体像を押さえておきましょう。

飲食店開業で必要になる主な手続き
手続き届出先タイミング
飲食店営業許可保健所工事着工前の事前相談から
食品衛生責任者の設置(講習受講)申請前までに
防火管理者の選任・届出消防署収容人数により
開業届・青色申告承認申請税務署開業後
深夜酒類提供飲食店営業開始届警察署深夜に酒を出す場合

開業までのスケジュールを逆算する

開業日が決まったら、そこから逆算して動きます。鍵になるのは保健所への申請タイミングです。

静岡市では営業開始予定日の15日前までに書類を持参するよう案内しています。厚生労働省の資料では施設完成予定日の約10日前までという目安もありますが、自治体で運用が違うので、自分の管轄に必ず確認してください。

私の感覚では、物件契約から開業まで2〜3か月は見ておくと安心です。内装工事の遅れは本当によく起きます。

開業前に固めておく事業計画と物件・資金の準備

許可の話に入る前に、土台となる計画と物件、お金の準備があります。ここが甘いと、許可は取れても続かない店になります。正直、開業の成否はここで半分決まります。

開業前に固めておく事業計画と物件・資金の準備

事業計画と資金計画の立て方

事業計画で最初に決めるのは、誰に何をいくらで売るか。客単価と席数、回転数から月の売上を仮置きし、家賃・人件費・原価を引いて手元に残るかを見ます。

取材した独立開業者で続いている店は、ほぼ全員がこの数字を紙に書き出していました。頭の中だけで「いけそう」と思っているうちは、まだ計画とは呼べません。

物件選び・立地調査と契約時の注意点

物件は許可と直結します。前テナントが飲食店だったかどうかで、内装工事の量が大きく変わるからです。

スケルトン(内装なし)の物件は自由度が高い反面、給排水やグリストラップの設置で費用がかさみます。居抜き物件は設備が残っていて安く済みますが、保健所基準に合わない古い設備が残っていることも。契約前に必ず保健所へ図面を持ち込んで相談してください。

契約時は、解約予告期間と原状回復の範囲を必ず確認します。ここを読み飛ばすと、退店時に数十万円単位で揉めます。

開業資金の総額目安と資金調達(融資・補助金)

開業資金は物件取得費、内装工事費、設備費、運転資金の合計で考えます。具体的な総額は立地と規模で大きく変わるため、ここで全国一律の金額を断定はしません。

資金調達でよく使われるのは日本政策金融公庫の創業融資です。自己資金がいくらあるかで借りられる額が変わるので、計画段階で自己資金の割合を意識しておくといいです。

個人事業と法人設立の比較と開業形態の選び方

1店舗目で迷うのが、個人事業でいくか法人を作るか。判断のポイントを整理します。

個人事業と法人設立の比較
項目個人事業法人
開業手続き税務署へ開業届登記が必要で手間とコストがかかる
税金所得税(累進)法人税中心
許可申請の必要書類登記事項証明書は不要登記事項証明書が必要
向いている人まず小さく始めたい人複数店舗や出資を見据える人

私の意見では、1店舗目は個人事業で始める人が多いです。利益が大きく伸びてきた段階で法人化を検討する、という順番で十分だと思います。

飲食店営業許可の取得手順(保健所での流れ)

ここからが本題です。営業許可は「事前相談→申請→施設検査→許可証交付→営業開始」の順で進みます。1ステップずつ、確認の目安とつまずきポイントを添えていきます。

飲食店営業許可の取得手順(保健所での流れ)

手順1 保健所に事前相談する

工事を始める前に、店舗の図面を持って管轄の保健所へ行きます。ここで設備の配置が基準に合うか確認してもらいます。

確認の目安:シンクの数、手洗い設備、厨房と客席の区分について「これでOK」と言われたら次へ進めます。

うまくいかないときは、図面だけでなく設備の仕様書も持参すると話が早いです。電話より対面相談を強くおすすめします。

手順2 営業許可を申請する

施設の工事がほぼ終わる段階で、申請書類を保健所に提出します。提出は施設完成予定日の約10日前まで、という案内が厚生労働省資料にあります。手数料もこのとき納めます。

確認の目安:受付で書類の不備を指摘されず、施設検査の日程が決まれば申請完了です。

手順3 立入検査を受ける

保健所の担当者が実際に店舗へ来て、設備が基準どおりか検査します。立ち会いは経営者本人が望ましいです。指摘があればその場でメモを取ります。

確認の目安:その場で「基準に適合しています」と言われればクリアです。不適合があれば改善後に再検査になります。

手順4 営業許可証を受け取る

検査で基準適合が確認されると、許可証が交付されます。広島市では保健所窓口での受け取りか郵送で交付されます。

この手順を踏めば、晴れて合法的に営業を開始できます。許可証は店内の見やすい場所に掲示してください。

営業許可申請に必要な書類と書き方のポイント

飲食店の開業には保健所の営業許可が必要!営業許可をとるための要件や手続きの流れをご紹介。居抜き物件・店舗なら「居抜き市場」
飲食店の開業には保健所の営業許可が必要!営業許可をとるための要件や手続きの流れをご紹介。居抜き物件・店舗なら「居抜き市場」

申請でつまずく原因の多くは書類です。厚生労働省の資料に挙げられている主な必要書類を押さえておきましょう。

営業許可申請書と施設の図面

中心になるのは営業許可申請書と、営業設備の大要・配置図です。図面は厨房の設備配置やシンクの位置が分かるように描きます。

手書きでも構いませんが、事前相談で見せた図面と内容が一致していることが大事です。途中で配置を変えたら、必ず保健所に伝えてください。

食品衛生責任者の資格証明・水質検査成績書・登記事項証明書

このほかに必要になるのが次の書類です。

主な必要書類と必要になるケース
書類必要になる場合
食品衛生責任者の資格を証明する書類すべての申請で必要
水質検査成績書貯水槽や井戸水を使う場合
登記事項証明書法人で申請する場合
手数料すべての申請で必要

水質検査成績書は、水道水を直接使う店なら不要です。貯水槽や井戸水の場合だけ求められます。

申請書類の記入で迷いやすい箇所

営業の種類の欄で迷う人が多いです。同じ店でも、出すメニューによって必要な許可区分が変わることがあります。判断がつかなければ事前相談で確認するのが確実です。

開業に必要な資格・届出(食品衛生責任者・防火管理者ほか)

許可とは別に、店に必ず置く資格者がいます。食品衛生責任者がそれです。さらに規模によっては防火管理者も必要になります。

開業に必要な資格・届出(食品衛生責任者・防火管理者ほか)

食品衛生責任者講習の受講方法と費用

食品衛生責任者の資格証明は、申請時の必須書類です。調理師や栄養士などの資格があればそのまま証明に使えますが、無い場合は各地の食品衛生協会が開く講習を受けて取得します。

受講料は自治体や協会で差があるため、全国一律の金額は断定しません。申し込みは協会のサイトから日程を選んで予約するのが基本の流れです。開業準備の早い段階で受けておくと安心です。

防火管理者と消防署への届出

建物の収容人数が一定以上になると、防火管理者を選任して消防署に届け出る義務が生じます。小さな店では不要なこともあるので、物件が決まったら消防署に確認してください。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

バーや居酒屋など、深夜0時を過ぎて主に酒を提供する店は、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を出します。これは保健所の営業許可とは別の手続きです。出し忘れると深夜営業ができません。

HACCPに沿った衛生管理への対応

許可取得後も、施設や設備が基準どおりに維持管理されているかを点検する必要があると、厚生労働省資料は案内しています。日々の温度管理や清掃を記録に残す、いわゆるHACCPに沿った衛生管理が現在は求められます。

難しく考えなくて大丈夫です。冷蔵庫の温度や手洗いのタイミングを簡単なチェック表で残すところから始められます。

業態で変わる許可と忘れやすい関連手続き

飲食店営業許可があれば全部カバーできる、と思い込むと足をすくわれます。業態によって追加の許可や別の手続きが必要になります。

業態で変わる許可と忘れやすい関連手続き

カフェ・バー・テイクアウト・キッチンカーの違い

店内で調理して出すなら飲食店営業許可が基本です。ただ、提供形態によって注意点が変わります。

業態ごとの許可の考え方
業態許可・注意点
カフェ(店内提供)飲食店営業許可。コーヒー以外に焼き菓子を売るなら追加許可の確認を
バー(深夜営業)飲食店営業許可+深夜酒類提供飲食店営業開始届
テイクアウト店内調理して持ち帰り提供なら飲食店営業許可で対応できる場合が多い
キッチンカー移動販売用の営業許可が別途必要。設備基準も専用のものがある

キッチンカーは特に要注意です。店舗とは設備基準が違い、給水タンクの容量などで提供できるメニューが制限されます。

菓子製造業許可など追加で必要な許可の判断

焼き菓子やパンを作って販売する場合、飲食店営業許可とは別に菓子製造業許可が必要になることがあります。店内で出すのか、包装して物販するのかで判断が分かれます。迷ったら事前相談で確認してください。

税務署への開業届・青色申告承認申請

個人で開業したら、税務署へ開業届を出します。あわせて青色申告承認申請を出しておくと、節税の幅が広がります。提出には期限があるので、開業後早めに動いてください。

従業員を雇う場合の労務・社会保険手続き

スタッフを雇うなら、労働保険の手続きが必要です。人数や働き方によっては社会保険の加入義務も生じます。アルバイト中心でも労災保険は原則加入対象になる点を見落とさないでください。

立入検査で落ちないための現場チェックと失敗例

飲食店の開業で必要な届出・手続きとは。開業届や保健所・消防署・警察署への各届出も解説。居抜き物件・店舗なら「居抜き市場」
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取材で何度も聞いたのが「検査で落ちて開業が遅れた」という話です。原因はだいたい決まっています。先回りで潰しておきましょう。

内装・設備を保健所基準に合わせる進め方

進め方の鉄則は、工事の前に保健所へ図面を見せること。これだけです。着工後に「シンクが足りない」と言われると、配管をやり直す羽目になります。

内装業者にも「飲食店の保健所基準で」と最初に伝えておくと、手戻りが減ります。

立入検査でよくある不合格事例と対策

私が取材や実務で見てきた、つまずきやすい例を挙げます。

立入検査でよくある不合格例と対策
不合格になりやすい点対策
手洗い専用設備がない厨房に手洗い用シンクを別途設置
シンクの数が足りない用途に応じた数を事前相談で確認
厨房と客席が区分されていない扉や仕切りで明確に分ける
床や壁が清掃しにくい素材防水・耐水性のある仕上げにする

どれも事前相談で図面を見せていれば防げるものばかりです。

事前相談で確認すべきチェック項目

事前相談に行くときは、これだけは聞いてくる、というリストを持って行ってください。シンクの数と配置、手洗い設備の位置、厨房と客席の区分、床・壁の素材、給排水とグリストラップ。この5点を確認できれば、検査で慌てることはほぼなくなります。

費用・期間とよくある質問

最後に、お金と時間の目安、そして罰則など慎重に確認したい点をまとめます。費用と期間は自治体差が大きいので、断定できる範囲だけ書きます。

費用・期間とよくある質問

許可取得にかかる費用と期間の目安

営業許可の申請費用は自治体ごとに異なります。民間の解説では2万円程度とする例がありますが、これは全国共通の公式値ではありません。正確な額は管轄の保健所で確認してください。

期間も同様に自治体差があります。民間解説では約10日や2〜3週間とする例がありますが、公式に一律の日数はありません。静岡市の15日前申請のように、自治体の案内を優先してください。

無許可営業の罰則と許可証の有効期限・更新

許可を取らずに営業すると、食品衛生法に基づく罰則の対象になります。「知らなかった」では済みません。必ず許可を取ってから営業を始めてください。

有効期間は自治体や業種で異なるため、全国一律の年数は断定できません。民間解説では一般的に5〜8年程度とする例がありますが、これは公式の統一値ではなく自治体差があります。許可証に記載された期限を確認し、満了前に更新手続きをしてください。

テイクアウトのみでも許可は必要?など疑問への回答

読者からよく寄せられる質問にまとめて答えます。

よくある質問

飲食店開業の許可・手続き・流れとは?
食品衛生法に基づく営業許可を、店舗所在地を管轄する保健所で取得する手続きです。流れは事前相談→申請→施設検査→許可証交付→営業開始の順で進みます。
飲食店開業の許可にかかる費用は?
申請手数料は自治体ごとに異なり、全国共通の公式金額はありません。民間解説では2万円程度とする例がありますが、正確な額は管轄の保健所で確認してください。
飲食店開業の手続きの始め方は?
まず物件を決めたら、工事の着工前に管轄の保健所へ図面を持って事前相談に行くのが最初の一歩です。あわせて食品衛生責任者の講習も早めに予約しておきましょう。
飲食店の営業許可証はどこで取れますか?
店舗の所在地を管轄する保健所です。許可権限は都道府県知事・保健所設置市長・特別区長にあります。
テイクアウトのみでも飲食店営業許可は必要ですか?
店内で調理して持ち帰り提供する場合は、飲食店営業許可で対応できることが多いです。ただし業態や提供内容で判断が変わるため、保健所への事前相談で確認してください。
飲食店を無許可で営業するとどうなりますか?
食品衛生法に基づく罰則の対象になります。営業は必ず許可を取得してから始めてください。

全体を一気に読むと量が多く感じるかもしれません。でも、やることは結局ひとつずつです。今日できる最初の一歩は、管轄の保健所に電話して事前相談の予約を入れること。ここが動けば、開業はぐっと現実になります。

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中村 亮介

飲食店運営会社での勤務経験5年(店舗開発・FC加盟担当) ・ 独立開業者への取材実績30件以上
飲食業界歴10年

飲食業界での勤務経験と複数の開業サポート取材をもとに、費用・手続き・物件探しまで一次情報に徹して書く編集者。「いつか開業」を「今日の一歩」に変えるための実務的な記事を心がけている。

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