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飲食店起業の始め方|開業の流れ・費用・資格を徹底解説

中村 亮介 / 更新:2026-06-18
飲食店起業の始め方|開業の流れ・費用・資格を徹底解説
「飲食店を開きたいけど、何から手をつければいいか分からない」——これが、私が取材で一番よく聞く悩みです。結論から言うと、飲食店起業は決まった流れがあり、開業の1年前から逆算して動けば、初めてでも形にできます。

私は飲食店運営会社で5年、店舗開発とFC加盟の担当をしていました。独立開業した方への取材も30件を超えます。その経験から、つまずきやすいポイントと、お金で損をしない手順を実務目線でまとめました。

この記事で分かるのは、開業までの8ステップ、必要な資格と届出、費用の目安と資金調達の具体策、そして失敗しないための判断基準です。

飲食店起業とは?開業の全体像と知っておきたい基礎知識

【飲食店】開業する為に準備すべき8つのこと
【飲食店】開業する為に準備すべき8つのこと

飲食店起業とは、自分の店舗を構えて料理や飲み物を提供し、対価を得る事業を立ち上げることです。脱サラして独立する人もいれば、副業から始める人もいます。

まず押さえてほしいのは、料理の腕だけでは店は回らないという現実です。資金、物件、手続き、人。この4つを並行して進める段取り力が問われます。

飲食店起業の意味と独立開業の流れ

独立開業の流れは、コンセプト決め→事業計画→物件探し→資金調達→施工・備品→メニュー→資格・届出→採用、という順番が基本です。

この順番には理由があります。コンセプトが固まらないと事業計画が書けず、計画がないと融資も通りません。土台から積み上げるイメージです。

開業までにかかる期間の目安

私が見てきた範囲では、準備に着手してから開店まで半年〜1年が現実的なラインです。物件が早く決まれば短縮できますが、焦って妥協すると後で響きます。

開業準備の時期別タスク(目安)
時期やること
1年前〜コンセプト設計
1年〜6か月前事業計画の作成
6〜3か月前物件探し
3〜2か月前資金調達・施工・備品
3か月前〜メニュー・レシピ考案
1か月前〜資格取得・各種届出
2か月前〜開店スタッフ採用・教育

起業に向いている人・必要な能力

正直に言うと、料理好きより「数字に向き合える人」のほうが続きます。原価率や人件費を毎月チェックできるかどうか。ここで差がつきます。

加えて、体力と、頭を下げられる柔軟さ。仕入れ業者や物件オーナーとの交渉は避けて通れません。

飲食店起業の進め方を8つのステップで解説

ここからは実際の手順です。順番を飛ばすと手戻りが出ます。特に資金調達の前に事業計画を仕上げておくことが、融資審査では効いてきます。

飲食店起業の進め方を8つのステップで解説

コンセプトと事業計画を固める

誰に、何を、いくらで、どこで出すのか。これがコンセプトです。「30代女性向け、昼は定食、夜はワインの店」くらい具体的にします。

事業計画では、売上予測と費用、返済計画を数字で書きます。ここが甘いと、後の融資面談で一発で見抜かれます。

物件選びと開業資金の調達

物件は立地が命です。狙う客層が通る場所か、競合はどうか。私は必ず平日と週末、昼と夜に現地へ立ちます。

資金は自己資金だけで足りないことがほとんど。日本政策金融公庫の創業融資や補助金を組み合わせます。詳しくは後の章で。

メニュー考案と店舗・備品の準備

メニューは原価率を意識して設計します。看板商品の原価率は抑えつつ、ドリンクで利益を取る、といった全体バランスが大事です。

厨房機器や食器、レジまわりの備品もこの時期に発注します。リードタイムが長い機器は早めに動きます。

資格取得・届出とスタッフ採用

食品衛生責任者の講習は、開店の1か月前までに受けておくと安心です。営業許可は保健所の検査が必要なので、施工と並行で段取りします。

スタッフは開店2か月前から募集を。教育期間を見込まないと、初日からオペレーションが崩れます。

飲食店起業に必要な資格・届出・申請

飲食店は「開けば営業できる」ものではありません。最低限、食品衛生責任者と飲食店営業許可が必要です。規模によって防火管理者も加わります。

飲食店起業に必要な資格・届出・申請

食品衛生責任者

店舗ごとに1名、食品衛生責任者を置く義務があります。各都道府県の食品衛生協会が開く講習を1日受ければ取得できます。

調理師や栄養士の資格があれば、講習が免除されるケースもあります。自分が該当するか、申し込み前に確認を。

防火管理者

収容人数が30人以上になる店舗では、防火管理者の選任が必要です。延床面積によって甲種・乙種に分かれます。

小規模なカフェなら不要なこともあります。自分の店の規模で必要かどうか、消防署に問い合わせるのが確実です。

飲食店営業許可

営業の核となるのが、保健所の飲食店営業許可です。施設が基準を満たしているか、保健所職員が現地検査します。

内装工事の前に保健所へ図面を持って相談すると、手戻りを防げます。シンクの数や手洗いの位置で引っかかる例が多いからです。

開業届・青色申告など税務手続き

個人で始めるなら、税務署へ開業届を出します。あわせて青色申告承認申請書を出すと、最大65万円の控除が使えます。

帳簿付けが面倒なら、開業の早い段階で税理士に相談しておくと後がラクです。初年度は記帳に慣れていないので、特に。

飲食店起業の費用と資金調達の具体策

【飲食店開業資金】平均〇〇万円!これができないなら開業しない方が良いこととは?
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一番心配なのがお金でしょう。ここは具体策で答えます。補助金には実在する制度があり、上手く使えば数百万円規模の支援が受けられます。

開業資金の内訳と費用を抑える方法

開業資金の主な内訳は、物件取得費、内装工事費、厨房機器、運転資金です。中でも内装工事費が一番ブレます。

費用を抑える王道は居抜き物件の活用です。前の店の設備をそのまま使えれば、工事費を大きく削れます。次章で詳しく比較します。

売上・利益のシミュレーションと収支計画

収支計画はざっくりでも必ず作ります。客単価×席数×回転数×営業日数で月商を見積もり、そこから原価・人件費・家賃を引いて残りを確認します。

私の感覚では、家賃は月商の10%以内、原価率と人件費の合計(FLコスト)は60%以内に収まる計画でないと、返済まで回りません。ここが赤字計画かどうかの分かれ目です。

日本政策金融公庫・補助金・融資審査の通し方

資金調達の柱は、日本政策金融公庫の創業融資と、補助金の併用です。融資審査では、自己資金の比率と事業計画の具体性が見られます。

補助金は使える制度を押さえておくと武器になります。代表的なものを表にまとめました。

飲食店起業で使える主な補助金(2026年最新)
採択=補助金確定ではなく、交付決定通知前の発注・契約・支払いは原則対象外。
制度名補助上限補助率主な要件
小規模事業者持続化補助金(創業型)200万円(インボイス特例で250万円)2/3創業後1年以内
東京都創業助成金400万円(下限100万円)2/3以内創業5年未満+TOKYO創業ステーション利用
省力化投資補助金(一般型)750万円〜1億円(従業員数別)中小1/2(条件で2/3)・小規模2/3採択率約60〜70%

特に注意してほしいのが、補助金の支払いタイミングです。採択されても、交付決定の通知を受ける前に発注・契約・支払いをすると、原則として補助対象外になります。

「採択されたから先に内装工事を発注した」——これで補助金が下りなかった例を実際に聞きました。発注は必ず交付決定の後です。

物件・契約・業態選びで失敗しない判断基準

開業で最も後戻りが効かないのが物件契約です。ここを焦ると、開業後の固定費にずっと縛られます。判断基準を持って臨んでください。

物件・契約・業態選びで失敗しない判断基準

居抜き物件とスケルトン物件の比較

居抜きは前の店の設備が残った物件、スケルトンは何もない箱の状態です。初期費用は居抜きが圧倒的に安く済みます。

居抜き物件とスケルトン物件の比較
項目居抜き物件スケルトン物件
初期費用抑えやすい高くなりやすい
工事期間短い長い
内装の自由度低い(既存設備に左右)高い(自由に設計)
設備の不安老朽化リスクあり新規なので安心

私なら、資金が限られる初めての開業は居抜きを勧めます。ただし残された厨房機器が古いと、結局買い替えで高くつくことも。引き渡し前に動作確認は必須です。

保証金・賃料交渉・立地調査の注意点

飲食店の保証金は賃料の数か月〜10か月分と幅があります。ここは契約前に必ず確認し、返還条件まで読み込みます。

賃料は交渉の余地があります。長期空室の物件なら、フリーレント(一定期間の賃料無料)を引き出せることも。ダメ元で聞く価値はあります。

立地調査は、机上のデータだけで決めないこと。曜日と時間を変えて何度も歩き、実際の人通りを自分の目で数えます。

業態別(カフェ・居酒屋・ラーメン店)の違い

同じ飲食店でも、業態で勘所がまったく違います。

主な業態の開業ポイントの違い
業態客単価傾向回転重視/滞在重視注意点
カフェ低〜中滞在型回転が遅く席効率が課題
居酒屋中〜高滞在型夜の立地と酒類の利益設計
ラーメン店回転型ピーク時の提供スピードと厨房動線

カフェは「やりたい人」が多い分、回転の悪さで苦戦しがちです。客単価を上げる工夫がないと、席が埋まっても利益が薄い。ここは正直、覚悟が要ります。

フランチャイズ加盟と独立開業の比較

FC加盟担当だった経験から言うと、フランチャイズは「経営の不安を仕組みで補う選択」です。ブランド力と運営ノウハウが得られる反面、ロイヤリティと制約がつきます。

フランチャイズ加盟と独立開業の比較
項目フランチャイズ独立開業
ブランド力既存ブランドを利用ゼロから構築
ノウハウ本部から提供自分で蓄積
自由度低い(本部ルール)高い
継続コストロイヤリティありなし

自分の色を出したいなら独立、堅実に再現性を取りたいならFC。料理に強いこだわりがある人にFCは向きません。逆に経営未経験なら、FCの仕組みは安全網になります。

開業後に売上を伸ばす集客と経営管理のコツ

開業はゴールではなくスタートです。むしろここからが本番。集客と数字管理ができないと、どんなに良い店でも続きません。

開業後に売上を伸ばす集客と経営管理のコツ

SNS・Web集客とリピーター獲得施策

開店前からSNSのアカウントを動かし、内装が出来上がる様子を発信します。開店初日に「気になってた」客を呼べるかどうかが、最初の山場です。

リピーター獲得は、来店時に次回の理由を渡すこと。LINE登録特典やスタンプカードが地味に効きます。新規獲得より、再来店のほうが安く済みます。

原価率・人件費・在庫の管理

利益を守る要が、原価率と人件費を足したFLコストの管理です。先述のとおり、合計60%以内が一つの目安になります。

在庫は「ロスの見える化」がすべて。廃棄した食材を記録し、仕入れ量を週単位で調整します。ここを放置すると、忙しいのに儲からない店になります。

キャッシュレス・POSレジなどIT導入

POSレジを入れると、何が売れているかが数字で見えます。勘に頼った仕入れから卒業できるのが最大のメリットです。

キャッシュレス対応は、もはや選択ではなく前提に近い。導入や省力化の機器には省力化投資補助金が使える場合があるので、先述の制度を確認してください。

【独自】飲食店起業の失敗事例と廃業を防ぐ回避策

【飲食店開業の手順】失敗しないための飲食店経営の準備と流れ
【飲食店開業の手順】失敗しないための飲食店経営の準備と流れ

取材で集めた「しくじり」を共有します。きれいごとより、こちらのほうが役に立つはずです。失敗には共通のパターンがありました。

よくある失敗パターンと原因

最も多いのが、運転資金の不足です。開店費用に全力を使い切り、オープン後の数か月を支える現金が残っていない。客がつく前に資金が尽きます。

次が立地ミスと、コンセプトのブレ。途中でメニューを増やしすぎて、店の軸が分からなくなる。これも何度も見ました。

開業スケジュール遅延のバッファの取り方

工事の遅れ、機器の納品遅延、保健所検査での指摘。遅延は必ず起きます。私は開店予定日に2〜3週間のバッファを取るよう勧めています。

特に補助金を使う場合、交付決定を待ってから発注する必要があるため、スケジュールはさらに伸びます。先述の交付決定ルールを前提に逆算してください。

開業者の体験談から学ぶ教訓

あるカフェオーナーは「内装にこだわりすぎて運転資金を削り、開店3か月で資金繰りが回らなくなった」と話していました。立て直せたのは、メニューを絞り原価管理を徹底してからです。

「見栄えにお金をかけるより、半年生き残れる現金を残すべきだった」——取材した独立開業者の言葉。

この一言に、飲食店起業の本質が詰まっています。かっこいい店より、続く店を作る。これが私の結論です。

飲食店起業に関するよくある質問

よくある質問

飲食店起業とは?
自分の店舗で料理や飲み物を提供して対価を得る事業を立ち上げることです。コンセプト設計、事業計画、物件、資金調達、資格・届出、採用といった一連の流れを経て開業します。料理の腕に加え、原価や人件費を管理する数字の感覚が必要になります。
飲食店起業の費用は?
主な内訳は物件取得費、内装工事費、厨房機器、運転資金です。居抜き物件を使えば内装工事費を抑えられます。資金が足りない場合は、日本政策金融公庫の創業融資に加え、小規模事業者持続化補助金(創業型・上限200万円、インボイス特例で250万円)や東京都創業助成金(上限400万円)などの補助金を併用できます。
飲食店起業の始め方は?
開業の1年前からコンセプトを固め、事業計画→物件探し→資金調達→施工・備品→メニュー→資格・届出→採用の順に進めるのが基本です。食品衛生責任者と飲食店営業許可は必須で、収容30人以上なら防火管理者も必要です。開店日には2〜3週間のバッファを取り、遅延に備えてください。

最後にひとつだけ。今日できる一歩は、近所の繁盛店に客として行き、何が選ばれているかを観察することです。机上の計画より、現場のほうがずっと多くを教えてくれます。

飲食店起業に関するよくある質問
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中村 亮介

飲食店運営会社での勤務経験5年(店舗開発・FC加盟担当) ・ 独立開業者への取材実績30件以上
飲食業界歴10年

飲食業界での勤務経験と複数の開業サポート取材をもとに、費用・手続き・物件探しまで一次情報に徹して書く編集者。「いつか開業」を「今日の一歩」に変えるための実務的な記事を心がけている。

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中村 亮介
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