飲食店の内装工事費用の相場は?坪単価と費用を抑える方法を解説

結論から言うと、飲食店の内装工事は物件の状態と業態で坪単価が大きく変わり、居抜きなら15万円台、スケルトンなら最大で98万円超まで開きがあります。
この記事では、坪単価の相場、費用の内訳、見積書の読み方、節約術、資金調達、契約時の注意点まで、私が現場で見てきたことと出典付きの数字を合わせて整理します。資金計画を立てる前に、まず相場感をつかんでください。
飲食店の内装工事費用の相場と坪単価

まず全体像から。日本政策金融公庫の資料では、飲食店の開業費用の平均は約883万円、うち内外装工事費が約368万円で、全体の41.7%を占めています。内装は開業資金の最大項目です。
スケルトン物件と居抜き物件の費用差
内装費を左右する最大の要因は物件の状態です。何もない状態のスケルトンか、設備が残る居抜きかで坪単価が倍以上変わります。
| 物件状態 | 坪単価レンジ | 出典 |
|---|---|---|
| スケルトン | 30〜60万円/坪 | 店舗内装相場解説 |
| スケルトン | 40.0〜98.5万円/坪(中央値66.4万円) | テナント工房 |
| スケルトン | 50〜70万円/坪 | テンポデザイン |
| 居抜き | 15〜30万円/坪 | 店舗内装相場解説 |
| 居抜き | 20〜30万円/坪 | テンポビズ |
正直に言うと、居抜きの「安さ」は中身次第です。残置された厨房機器が古ければ結局入れ替えになり、スケルトンと変わらない額になったケースを何度も見てきました。
カフェ・バー・レストランの業種別相場
業態でも相場は動きます。客単価の高い和食やレストランは内装に金をかける傾向があり、坪単価も上がります。
| 業態 | 坪単価 | 出典 |
|---|---|---|
| カフェ | 15〜25万円/坪 | リフォマ |
| 洋食レストラン・中華・焼鳥・居酒屋バル | 25〜40万円/坪 | リフォマ |
| 和食店 | 35〜50万円/坪 | リフォマ |
| カフェ・バー | 30〜50万円/坪 | 店舗内装相場解説 |
| 居酒屋 | 40〜60万円/坪 | 店舗内装相場解説 |
| レストラン | 30〜80万円/坪 | 店舗内装相場解説 |
カフェが一番安く見えますが、内装の雰囲気が集客に直結する業態でもあります。ここを削りすぎると客が来ない。バーは照明と造作で印象が決まるので、坪単価のレンジ内でも上振れしやすい。
地域別の坪単価レンジ
地域別の信頼できる数値は、今回確認できた出典の中には明確なものがありませんでした。ここで根拠のない地域差を書くのは避けます。
私の取材実感としては、都心部は職人の人件費と資材搬入の条件で同じ仕様でも割高になりやすいです。ただしこれは数字で裏づけられないため、複数業者から地元相場を直接取ることを勧めます。
開業資金に占める内装費用の割合
前述の日本政策金融公庫の資料では、内外装工事費が開業費用全体の41.7%。つまり資金計画はほぼ内装で決まると言っていい数字です。
15坪のスケルトン物件を相場20〜80万円/坪で見ると総額300万〜1,200万円という試算が業者記事で示されています。レンジが広すぎて怖いですが、これが現実です。
内装工事費用の内訳と設備工事の詳細
総額だけ見ても判断できません。見積もりは「デザイン・設計」「内装施工」「設備工事」の3層に分かれ、飲食店で膨らむのは設備工事です。ここを理解しないと節約のしどころを間違えます。

デザイン・設計・施工の内訳
内装費は大きく、設計デザイン費、内装造作工事、設備工事に分けられます。一般的に設計費は工事費の一定割合で計上されることが多く、施工費は床・壁・天井・建具などの造作が中心です。
私がチェックするのは「設計費が工事費にどう含まれているか」。設計と施工が一体の業者は設計費が見えにくく、別会社だと内訳が明確になる傾向があります。
厨房・空調・電気・給排水の設備費用
飲食店で最も金がかかるのが設備です。厨房機器、ダクト換気、グリストラップ、給排水、電気容量の増設。スケルトンが高いのは、この設備をゼロから引くからです。
特に換気と給排水は後から動かしにくく、図面段階での設計ミスが追加費用に直結します。私が見た失敗の多くは、厨房レイアウトを後で変えてダクトをやり直した例でした。
見積書の読み方とチェック項目
見積書は「一式」の多さで質が分かります。数量・単価が書かれていない一式だらけの見積もりは、後で増減を検証できません。
| 項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 一式表記の数 | 数量・単価のない『一式』が多すぎないか |
| 設計費の扱い | 工事費に含むのか別建てか明記されているか |
| 諸経費の率 | 現場管理費・諸経費が何%か |
| 設備工事の内訳 | 厨房・空調・給排水が個別に分かれているか |
| 追加費用の条件 | どんな場合に追加が出るか注記があるか |
相見積もりを取るときは、同じ図面・同じ仕様で出してもらうこと。条件が違う見積もりを並べても比較になりません。
見積もり前に準備すべきこと
いきなり業者に「いくら?」と聞いても、まともな数字は返ってきません。条件が固まっていないからです。準備が甘いと見積もりがブレ、結果として追加費用の温床になります。

店舗の情報を整理する
坪数、物件の状態(スケルトンか居抜きか)、電気容量、給排水の位置、消防の条件。この基礎情報がないと業者は概算しか出せません。
居抜きなら、残置物のリストと使えるかどうかの判断が先。前テナントの厨房機器が動くかは、契約前に専門家に見てもらうべきです。
顧客層と店舗コンセプトを明確にする
誰に何を売る店か。これが決まらないと内装の方向性も予算配分も決まりません。客単価3,000円の店と800円の店では、かけるべき場所が違います。
私はコンセプトを「席数・客単価・回転数」の3つで数字に落とすよう勧めています。ここが曖昧なまま豪華な内装にして、回収できず苦しむ人を何人も見ました。
開業日から逆算した工程管理
工事は開業日から逆算します。物件契約から内装着工、設備搬入、保健所・消防の検査、グランドオープンまで。検査の予約が取れず開業が遅れる例は珍しくありません。
| 工程 | タイミングの目安 |
|---|---|
| 物件契約・コンセプト確定 | 開業の3〜4か月前 |
| 設計・見積もり確定 | 開業の2〜3か月前 |
| 内装着工 | 開業の1〜2か月前 |
| 設備搬入・試運転 | 開業の2〜3週間前 |
| 保健所・消防の検査 | 開業の1〜2週間前 |
家賃は契約日から発生します。工事が長引くほど無収入で家賃を払う期間が延びる。工程管理は資金管理そのものです。
内装工事費用を抑える方法

内装費が開業費の4割を占める以上、ここを抑えれば資金繰りは一気に楽になります。ただし削り方を間違えると集客や運営に響きます。効く順に紹介します。
居抜き物件を活用する
最も効果が大きいのが居抜きです。前述の通り居抜きは坪単価15〜30万円、スケルトンは30〜98万円台。設備が使えれば数百万円単位で変わります。
ただし繰り返すと、古い設備や前店のイメージが残るデメリットがあります。同業態の居抜きを狙うのが、私の経験では一番コスパが良い。
中古やリースを利用する
厨房機器は中古やリースで初期費用を圧縮できます。新品冷蔵庫やコールドテーブルは高額なので、ここを中古にするだけで効きます。
リースは初期負担を抑える代わりに総額は割高になります。自己資金が薄い人向け。資金に余裕があるなら中古の現物購入の方が私は好みです。
複数の業者から見積もりをとる
相見積もりは必須です。同じ仕様でも業者によって数百万円差が出ることがある。最低3社、できれば設計施工一体型と分離型を混ぜて取ると相場が見えます。
安さだけで選ばないこと。極端に安い見積もりは、一式表記で後から追加が出る前提のことがあります。
DIYや一部自社施工とそのリスク
塗装や什器の組み立てなど、資格不要で安全に関わらない部分はDIYで削れます。私が見た中では、壁の塗装を自分でやって数十万円浮かせた人がいました。
ただし電気・ガス・給排水・消防に関わる工事は資格と検査が必要で、素人は手を出してはいけません。ここを無理にDIYすると検査で通らず、結局やり直しで高くつきます。正直、設備は素人施工を勧めません。
支払いタイミングと資金調達の考え方
競合記事で薄いのがこの論点です。内装費は契約時にまとまった支払いが発生するため、資金のタイミングを読み違えると工事が止まります。開業費の4割という規模を、どう手当てするか。

費用の支払いタイミング
内装工事の支払いは、契約時の着手金、中間金、完工時の残金という分割が一般的です。着工前にまとまった現金が必要になる点に注意してください。
融資の入金が完工に間に合わないと、自己資金で立て替える場面が出ます。支払いスケジュールと融資の入金時期は、必ず突き合わせておくこと。
融資・ローンと自己資金のバランス
開業資金の調達では、日本政策金融公庫の創業融資が代表的な選択肢です。同公庫の資料が示す平均開業費用883万円を全額自己資金で賄える人は多くありません。
私の取材実感では、自己資金は総額の3割程度を目安に用意しておくと審査も通りやすく、開業後の運転資金にも余裕が残ります。内装に全部つぎ込んで運転資金ゼロは最悪のパターンです。
活用できる補助金・助成金
内装改装に使える補助金は時期によって募集が変わります。具体的な制度名と金額は年度で改定されるため、ここで古い数字を断定するのは避けます。
申請は着工前が条件のものが多く、工事を始めてからでは間に合いません。物件を決めたら、まず最新の公募要領を確認するのが正解です。
減価償却と耐用年数の会計・税務
内装工事費は一括経費ではなく、固定資産として減価償却します。建物附属設備や造作として耐用年数にわたり費用配分するのが基本です。
耐用年数は構造や用途で変わり、税務上の判断は個別性が高い。ここは独学で処理せず、税理士に確認してください。私も開業者には必ず専門家を入れるよう伝えています。
契約とトラブル回避のポイント
安く契約できても、追加費用と契約条件で結局高くつくことがあります。私が取材で聞いたトラブルの大半は、契約書の確認不足から起きていました。

契約書で確認すべきポイント
工事範囲、金額、工期、支払い条件、瑕疵の保証、遅延時の取り扱い。この6点が明記されているか確認します。口約束は必ず書面に残すこと。
特に「どこまでが今回の工事に含まれるか」の範囲があいまいだと、後から『それは別途です』の追加が雪だるま式に増えます。
追加費用が発生する条件
追加費用が出やすいのは、解体して初めて分かる老朽配管、電気容量の不足、仕様変更、施主都合の変更です。スケルトンより居抜きの方が、開けてみないと分からない部分が多い。
見積もり段階で「追加が発生する条件」を業者に文書で出してもらう。これだけで揉め事はかなり減ります。
失敗事例から学ぶトラブルと対処法
私が取材した中で多かった失敗は3つ。安さで選んで一式見積もりに追加を重ねられた例、厨房動線を軽視して開業後に作り直した例、検査基準を満たさず開業が遅れた例です。
対処はシンプルで、相見積もり・図面の作り込み・保健所と消防への事前相談。地味ですが、これをやった人は大きく外しません。
原状回復義務と退去時のコスト
見落としがちなのが退去時の原状回復です。賃貸物件はスケルトン戻しを求められることが多く、撤去費用は数百万円規模になることもあります。
契約書の原状回復の範囲は、入居時に必ず確認すること。居抜きで入ったのにスケルトン返しを求められる、という条項の食い違いは実際に起きます。出口のコストも資金計画に入れておくべきです。
費用を抑えた内装の実例とコスト削減額

数字だけでは判断しにくいので、抑えどころの考え方を実例ベースで整理します。内装は「削る場所」と「投資する場所」を分けるのが鉄則です。
ビフォーアフターで見る改装事例
私が見た中で効いたのは、同業態の居抜きに入り、厨房をほぼ流用して客席の見える部分にだけ予算を集中した例です。スケルトン見積もりから大幅に圧縮できていました。
逆に失敗は、客から見えない厨房や倉庫に金をかけすぎたケース。お客さんが価値を感じるのは客席と入口です。削るならバックヤードから。
内装デザインと売上・集客の関係
内装は単なるコストではなく集客装置です。複数の業者解説でも、業態に合った内装が客単価と回転に影響すると整理されています。カフェやバーは特に内装の印象が来店動機に直結します。
私の立場をはっきり言うと、入口とファサード、客席の照明はケチらない方がいい。ここを削って集客に苦しむより、バックヤードを質実剛健にする方が回収は早いです。
よくある質問(FAQ)

