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飲食店の経営とは?費用・始め方・黒字化のポイントを徹底解説

中村 亮介 / 更新:2026-06-19
飲食店の経営とは?費用・始め方・黒字化のポイントを徹底解説
飲食店の経営って、結局いくらかかって、どうすれば黒字になるのか。ここが見えないまま「いつか開業」で止まっている人は多い。先に結論を言うと、利益が残るかどうかはFLコスト(食材費+人件費)と損益分岐点の管理でほぼ決まります。

私は飲食店の運営会社で5年、店舗開発とFC加盟の担当をしてきました。開業者への取材も30件を超えます。その中で見えた「数字の現実」と「今日から動ける手順」を、できるだけ具体的に書きます。

この記事で分かるのは、利益が出る仕組み、開業費用と損益分岐点の計算例、始め方の5ステップ、開業後の集客と運営、そして難しいと言われる本当の理由です。

飲食店の経営とは?基本の仕組みと利益が出る流れ

【飲食経営】繁盛店の店長が当たり前にやっていること3選
【飲食経営】繁盛店の店長が当たり前にやっていること3選

飲食店の経営とは、料理や飲み物を提供して対価をもらい、その売上から食材費・人件費・家賃などを差し引いて利益を残す事業のことです。言葉にすると単純ですが、残る利益はとても薄い。ここを最初に腹落ちさせておくと、後の判断がぶれません。

飲食店経営の定義と日々やること

経営者の仕事は「作って出す」だけではありません。仕入れの発注、原価のチェック、シフト作成、売上の集計、清掃と衛生管理。営業時間外の事務作業が想像以上に多い。

正直に言うと、開業前の人がいちばん見落とすのがこの「裏方の時間」です。1日の労働時間が12時間を超えるのは珍しくありません。

売上から利益が残るまでのお金の流れ

売上が入っても、そのまま手元に残るわけではない。食材費を払い、スタッフに給料を払い、家賃と光熱費を払う。残った分が利益です。

順番が大事で、家賃や人件費は売上がゼロでも出ていく固定費。だから「売れない月」をどう耐えるかを最初に設計しておく必要があります。

経営で意識したい重要な数字(客単価・回転率・原価率)

飲食店の数字は、覚える言葉を3つに絞ると一気に見通しが良くなります。客単価、回転率、原価率です。

飲食店で最初に押さえる3つの数字
指標意味ざっくりの目安
客単価お客様1人あたりの支払額業態で大きく変わる
回転率1席が1日に何回使われたかランチは高く、ディナーは低い傾向
原価率売上に対する食材費の割合30%前後を一つの基準にする店が多い

この3つは掛け算でつながっています。客単価×席数×回転率がその日の売上の上限。原価率はそこから残る利益を決める。どれか一つだけ追っても黒字にはなりません。

飲食店経営に必要な費用と収支シミュレーション

ここがいちばん知りたい部分でしょう。費用は「開業時に一度かかるお金」と「毎月かかるお金」の2種類に分けて考えると整理しやすい。具体的な損益分岐点の計算例も置きます。

飲食店経営に必要な費用と収支シミュレーション

開業にかかる初期費用の目安と内訳

初期費用は物件取得費、内装工事費、厨房機器、什器・備品、当面の運転資金で構成されます。比重がいちばん重いのは内装工事費です。

私が取材した範囲でも、ここで予算オーバーする人が一番多かった。だからこそ後述する居抜き物件の選択が効いてきます。

毎月かかる固定費・変動費の考え方

毎月の費用は、売上に関係なく出ていく固定費と、売上に連動して増減する変動費に分かれます。

毎月の費用の分け方
家賃は固定費の中でも下げにくい。物件選びが後々まで効く理由はここにあります。
分類主な項目特徴
固定費家賃、人件費(社員)、リース料売上ゼロでも出ていく
変動費食材費、アルバイト人件費の一部、水道光熱費売上が増えると増える

損益分岐点の計算例と黒字化のライン

損益分岐点とは「ここまで売れば赤字にならない」という売上ラインのこと。計算式はシンプルです。固定費 ÷(1 − 変動費率)で出ます。

独自に試算してみます。固定費が月100万円、変動費率が40%の小規模店を想定します。100万円 ÷(1 − 0.4)= 約167万円。この店は月167万円売れば赤字を脱出する計算です。

客単価3,000円なら、月に約556人。営業25日なら1日約22人。この「人数」まで落とすと、達成できそうか肌感覚で判断できます。机上の売上目標より、こっちのほうが現実的です。

資金調達の方法(日本政策金融公庫・補助金・助成金)

自己資金だけで開業する必要はありません。創業時の借入では日本政策金融公庫がよく使われます。補助金・助成金も組み合わせられますが、ここは誤解が多い部分です。

大事な前提として、補助金は「事前にお金が出る」制度ではなく、原則は使った経費を後から一部補填するものです。開業資金そのものを補助金頼みにする計画は危険だと、私は考えています。

飲食店で使える主な補助金・助成金
上限額・要件は年度の公募ごとに変わります。申請前に必ず各公式サイトで最新の公募要領を確認してください。
制度名用途の例補助上限
小規模事業者持続化補助金販路開拓・チラシ・改装通常枠50万円
IT導入補助金POSレジ・モバイルオーダー申請枠で異なる
業務改善助成金最低賃金引上げ+設備投資最大600万円
中小企業省力化投資補助金配膳ロボット・自動精算機枠で異なる
創業助成事業(東京都)都内の創業経費最大400万円(対象経費の2/3以内)

IT導入補助金は、飲食店向けにPOSレジやモバイルオーダーが対象例として案内されています。

飲食店経営の始め方と開業前の準備5ステップ

開業前の準備は、順番を間違えると後から取り返しがつきません。コンセプト→物件→事業計画→メニュー、この流れで固めていきます。物件を先に決めて後悔する人が多いので、ここは特に注意してください。

飲食店経営の始め方と開業前の準備5ステップ

コンセプトとターゲットを決める

誰に、何を、いくらで出す店なのか。これを一文で言えないうちは物件を見に行かないほうがいい。

「近所の30代会社員に、平日ランチで使える定食を1,000円前後で」。これくらい具体的だと、必要な席数も立地も自然と絞れてきます。

物件選びのチェックポイント(居抜きとスケルトンの比較)

物件は居抜きとスケルトンの2択で迷います。私は予算が限られるなら居抜きを勧めますが、万能ではありません。

居抜き物件とスケルトン物件の比較
項目居抜きスケルトン
内装・厨房前の設備を活かせるゼロから工事
初期費用抑えやすい高くなりやすい
自由度間取りに制約あり思い通りに作れる
注意点設備の劣化・前店の悪評工期と費用が読みにくい

居抜きで気をつけたいのは、厨房機器が動くか、排気やグリストラップが使えるか。見た目がきれいでも設備が寿命なら、結局買い直しです。内見では必ず通電・通水を確認してください。

事業計画書の作成と必要な届出・資格

事業計画書は、融資のためだけのものではありません。損益分岐点を自分の手で計算する作業そのものが、開業の可否を冷静に判断させてくれます。

飲食店の開業に必須なのが食品衛生責任者と、収容人数によって必要になる防火管理者です。調理師免許は必須ではありませんが、あると信頼につながります。

開業時の主な資格・届出
項目内容タイミング
食品衛生責任者講習受講で取得。各店に1名必須開業前
飲食店営業許可保健所へ申請・検査開業前
防火管理者収容人数30名以上で必要開業前
開業届税務署へ提出開業後すみやかに

メニュー開発と原価率を踏まえた価格設定

価格は「原価から逆算」して決めます。原価率30%を基準にするなら、原価300円の料理は1,000円。ここを感覚で決めると利益が消えます。

ただし全品を原価率30%にそろえる必要はない。ドリンクは原価率が低いので、利益はそこで取る。看板メニューは原価をかけて満足度を上げる。メニュー全体で平均30%に着地させるのが現実的なやり方です。

開業後に黒字を続けるための運営と集客の実務

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開業はゴールではなくスタート。黒字を続けるには、FLコストの管理と、リピーターを増やす集客がセットで必要です。ここを仕組み化できるかで生死が分かれます。

在庫・勤怠管理とFLコストの分析

FLコストとは食材費(Food)と人件費(Labor)の合計。この2つが売上の60%を超えると、家賃を払った後にほとんど残りません。

私が見てきた赤字店の多くは、FL比率を月単位で把握していませんでした。POSレジで日々の数字が自動で出るようにしておくと、異常にすぐ気づけます。

リピーター獲得と口コミ・地図対策(MEO)

新規客を呼び続けるのは広告費がかかる。だから、来てくれた人にもう一度来てもらう設計のほうが効きます。

地図アプリで「近くの定食屋」と調べる人は多い。Googleビジネスプロフィールを整え、写真を更新し、口コミに丁寧に返信する。地味ですが、これが地域の検索で上に出るかどうかを左右します。

テイクアウト・デリバリー・キャッシュレス決済の活用

店内だけに頼らない売上の作り方も、もう当たり前になりました。テイクアウトやデリバリーは雨の日や閑散時間の底上げに使えます。

キャッシュレス決済とモバイルオーダーは、会計の手間とレジ前の行列を減らします。POSレジやモバイルオーダーはIT導入補助金の対象例にも挙げられているので、導入コストを抑えられる場合があります。

スタッフ採用とシフト運用・人材育成

人材確保は、いまの飲食店で最大級の悩みです。求人を出しても集まらない。だから、辞めない店づくりのほうが効率がいい。

非正規スタッフの正社員化や処遇改善には、キャリアアップ助成金が使えます。育成にお金をかけることが、結果的に採用コストを下げます。

飲食店経営が難しいと言われる理由と失敗・閉店の実態

きれいごとは書きません。飲食店は開業のハードルが低い分、閉店も多い業界です。ここを知らずに始めると痛い目を見ます。

飲食店経営が難しいと言われる理由と失敗・閉店の実態

廃業率から見る飲食店経営の現実

私が取材した独立開業者の中にも、数年で店を畳んだ人が複数いました。理由はだいたい同じで、「思ったより客が来ない」ではなく「来ても利益が残らない」でした。

客足はあったのに、原価率と人件費を放置していた。FLコストを毎月見ていれば防げたケースが、正直かなり多い。

よくある閉店理由とその分析

飲食店でよくある閉店理由と原因
閉店理由背景にある原因
資金が尽きた運転資金の見積もり不足
利益が残らないFLコスト・原価率の管理不足
立地が合わなかったコンセプトと客層のズレ
人が集まらない採用・育成の仕組み不足

共通するのは、開業前の準備不足が後から効いてくること。立地のミスとFLコストの放置、この2つが二大原因だと私は見ています。

食中毒・衛生管理・クレームなどのリスク対策

一度の食中毒で店が終わることもあります。これは大げさではない。食品衛生責任者を置くのは法律上の義務であり、形式ではなく日々の温度管理・手洗い・記録が命綱です。

クレームは「起きる前提」で対応の流れを決めておくと慌てません。火災や賠償に備えた保険加入も、開業時に一度きちんと検討してください。

業態別の経営特性とこれからの経営環境への対応

同じ飲食店でも、カフェと居酒屋とラーメン店ではまったく勝ち方が違います。物価高への対応や、独立かフランチャイズかの判断もここで触れます。

業態別の経営特性とこれからの経営環境への対応

カフェ・居酒屋・ラーメン店など業態ごとの違い

業態ごとの経営特性の違い
業態強み難しさ
カフェ客単価以上に滞在価値で勝負回転率が低くなりやすい
居酒屋ドリンクで利益を取りやすい夜のみで集客が天候・曜日に左右
ラーメン店原価率を抑えやすく回転が速い味の再現性と行列対応

私が見てきた限り、カフェは「居心地」で長居されると席が回らず利益が出にくい。逆にラーメン店は回転で稼げる代わり、味のブレが致命傷になります。業態ごとに守るべき数字が違うわけです。

物価高・原材料高騰への向き合い方

原材料費が上がる局面では、価格転嫁を遅らせるほど利益が削られます。値上げに踏み切れず潰れる店を、私は何度も見ました。

小幅でも定期的に見直す、看板商品の質は落とさず周辺メニューで調整する。生産性向上の設備投資には業務改善助成金のような制度も活用できます。

フランチャイズ加盟と独立開業の比較

FC加盟の担当をしていた立場から、率直に言います。どちらが安全かは「あなたが何を持っているか」で変わります。

フランチャイズ加盟と独立開業の比較
項目フランチャイズ独立開業
ブランド・知名度最初からあるゼロから作る
ノウハウ・研修本部から提供自分で確立
自由度メニュー・価格に制約すべて自由
費用加盟金・ロイヤリティが必要ロイヤリティは不要

飲食未経験で初めて店を持つなら、FCで型を学ぶのは合理的。逆に、明確な自分のコンセプトと経験があるなら、ロイヤリティを払い続ける意味は薄い。私なら後者は独立を選びます。

飲食店経営に関するよくある質問(FAQ)

【飲食店経営】稼ぎずらい飲食で営業利益を出す方法5選!
【飲食店経営】稼ぎずらい飲食で営業利益を出す方法5選!

最後に、検索でよく一緒に調べられる3つの質問に、ここまでの内容を踏まえて短く答えます。

よくある質問

飲食店の経営とは何ですか?
料理や飲み物を提供して対価を得て、その売上から食材費・人件費・家賃などを差し引いて利益を残す事業です。日々の業務は調理だけでなく、仕入れ・原価管理・シフト作成・衛生管理など事務作業も多く、客単価・回転率・原価率という3つの数字の管理が利益を左右します。
飲食店の経営にかかる費用はどのくらい?
費用は開業時の初期費用(物件取得・内装・厨房機器・運転資金)と、毎月の固定費・変動費に分かれます。金額は規模や立地で大きく変わりますが、固定費÷(1−変動費率)で損益分岐点を計算すれば、自分の店が黒字化に必要な売上ラインを具体的に把握できます。
飲食店経営の始め方を教えてください
コンセプトとターゲットを一文で決める→物件を選ぶ(居抜きかスケルトン)→事業計画書で損益分岐点を計算する→食品衛生責任者など必要な資格・届出をそろえる→原価率を踏まえてメニューと価格を設計する、の順で進めます。物件を先に決めると失敗しやすいので、コンセプトを最初に固めてください。

飲食店の経営は、夢で始めて数字で続ける仕事です。まずやってほしいのは、紙とペンで自分の店の損益分岐点を一度計算してみること。その一枚が、開業すべきかどうかをいちばん正直に教えてくれます。

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中村 亮介

飲食店運営会社での勤務経験5年(店舗開発・FC加盟担当) ・ 独立開業者への取材実績30件以上
飲食業界歴10年

飲食業界での勤務経験と複数の開業サポート取材をもとに、費用・手続き・物件探しまで一次情報に徹して書く編集者。「いつか開業」を「今日の一歩」に変えるための実務的な記事を心がけている。

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